中島らもという人は経歴が非常に変わっている。フーテンであったり、もちろん作家でもあるわけだが、彼は12年間サラリーマンを実際にしている。しかも、サラリーマンの中における王道の「営業」の経験があるのである。
本書で著者自身も言っているが、サラリーマンという「組織に属しているときの顔」と「プライベートの顔」を使い分けることができる。それを見事に使い分け、かつギャップが凄い人に出会うと私は関心してしまう。
私が初めて入った会社での出来事なのだが、同じチームに私より年齢が10才位年上のKという男性の先輩がいた。私も仕事を全く知らない状況で、その先輩の下についていわゆる「OJT」という形で少しずつ仕事を覚えていき、二ヶ月ほどで仕事を任されるようになり、一応ひとり立ちした。
しばらくしてK先輩は異動となったのだが、実はそのK先輩はハードゲイで、自身のWebサイトで「こんな兄貴に抱かれてみたい!」等と赤裸々に自らの性癖をカミングアウトしていたのである。
仕事をしているとき、そのような危険性を私は全く感じられず(単に私が好みじゃなかっただけかもしれないけど)実に親切に指導いただいたわけで、その二面性というものにとても驚かされた。ハードゲイであることを知ったときは、まさに「おぞぞが走る」という気分であった。
サラリーマンの中でも、営業は特に持っている仮面が多いと思う。向かう会社ごと、担当ごとにそれぞれの仮面を使い分ける。その二重性、三重性を演じきるというのは、サラリーマンという仕事をしていく上で一つの楽しみに転化できるのではないかと思う。著者もサラリーマンを演じるということを「一種のゲームなのだ」と考えることで、仕事が随分と楽しくなったと書いている。胃に穴を開けてまで仕事をするより、この位の余裕は常に持っていたいと強く思う。
本書は辞典の様にあいうえお順にビジネス用語の解説や、関連した体験が記載されており、ちょっとした時間が出来たときに、さくっと読むには非常に適した本である。ぜひとも皆様にお勧めしたい。



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