
前回はRainbow Flybackの一般的なスペック等について述べたが、今回は私が入手したものの状態などを書きたい。
例によって、入手ルートは父からである。ありがたいものである。

付属品は外箱、内箱(結構汚れており、角はビニールがはがれている。無いよりはマシというレベル)、マニュアル、国際保証書とブレス3コマ分。国際保証書はZENITH国内正規販売店のものだから、オーバーホール等のメンテナンスサービスを60%の価格で受けることが出来る。総じてクロノグラフのオーバーホールは3針モデルに比べて割高になるのだが、この時計のムーブメントはパーツ点数が280、10振動のEl Primero Cal.405である。正規オーバーホールの定価は\63,000位するこれの40%引きというのは大変ありがたい。
しばらくオーバーホールはしていないとのことだから、今年の夏が終わった頃にしようと思っている。

ケースやブレスはステンレススチールのサテン仕上げである。ポリッシュに比べて傷が比較的目立たないとはいえ、かなりの傷がついている。特にブレスがひどい。研磨も検討したいが、オフで結構荒く使う予定の時計なので、また傷だらけになることを考えると…悩ましい。
他にも傷がいくつか。回転ベゼルの表面にはかなり深い傷が二つ。サファイアクリスタル風防の無反射コーティング部に傷が一つ。ZENITHやBREITLINGの時計は風防の両面に無反射コーティングを施されている。見る角度によって文字盤が青っぽく見えて面白いのだが、剥がれてしまうとちょっとみすぼらしい。手が触れることが無い内側だけ施されていても無反射効果は十分だと思うのだが…。ベゼルは、文字が書かれているプレートだけ交換可能なら、次のオーバーホールのときに試してみたいと思う。

バックルは観音開きのデュプロイメントタイプ。ちょっとここの出来はチープである。爪が浅いために、そのうち閉まらなくなるのではないかと心配になる。現行ZENITHのものと比べると、厚みも半分くらい。使いやすさであれば、現行よりも勝っているかな?(現行ZENITHのバックルで腕に傷を作った経験アリ)

ケースバックはステンレススチールのスクリューバック。一応、100m防水にするためには他モデルのようにシースルーバックにするわけにはいかなかったのだろう。まぁ、Cal.405はコートドジュネーブやペルラージュ仕上げがされているような美しいものじゃないから、見えなくても別にかまわないが。
夜光はトリチウムを採用しているが(この時期のモデルでトリチウムというのは珍しい)、さすがに10年以上経過しているために明るさは期待できない。真っ暗なところで薄ぼんやりと針が読めるレベルである。
購入時期は国際保証書によると1998年。まだZENITHがLVMH傘下ではなかった、定価は38万の頃のものだ。
1998年当時、私は今ほど時計に興味を持っていなかった。その頃に今と同じ気持ちを持っていたなら、38万で買ったと思う。これは相当に安い価格設定だと思う。…時計に興味が無い方からすると相当おかしい発言に思われるかも知れないが、同時期、同じムーブメントを使ったROLEXデイトナが100万前後という価格設定で販売されているのである(そりゃケースの質感とか、そういうのを比較されるとどうにもなりませんが)。そして、実際に使ってみて38万以上の価値を私は感じているのである。リセールバリューも悪くない(売るつもり無いけど)。
さて、使い心地である。比較的大きな時計なので小指一本分位の隙間をあけ、ちょっときつめにブレスの長さを調整する。そして装着。いきなりすごい。私の腕にものすごくよくフィットするのである。ステンレススチールバックの感触、ラグの仕上げ、重量バランスともに最適。今まで使ってきたどの時計よりも装着感に優れている。
ケースサイズは40mmとOMEGA SpeedMaster Professional MoonPhaseと同サイズだが、文字盤の色のせいか、Rainbow Flybackの方が小さく見える。厚みはさすがに自動巻き機構を持つだけあってRainbow Flybackの方があるが、現行DEFYのような(武器にでもなりそうな)凶暴なまでの厚さではない。自動巻きクロノグラフとしては薄いほうではないかと思う。

垂直クラッチ式クロノグラフに比べ針飛びが多いと聞いていたキャリングアーム式だが、本モデルに関して言えば全くといっていいほど見られない。ボタンの形状、コラムホイール方式が相まってか、操作性はすこぶる良い。フライバック動作も全く問題は無い。
このフライバック機能、現実には中々実用的な場面に遭遇しない(楽しいんで、よく遊んでるけど…)。唯一あったのは、カレーを作っているとき。強火何分、中火何分、ルー入れて何分…という工程の移り変わりでフライバック機能を使ってみたが、別にフライバックじゃなくて「ストップ+リセット+再測定」でも変わりない…。っていうか、キッチンタイマー使えって?これから始まる雷の季節には「○km先に落雷した」なんて測定をしながら、ニヤニヤしていることだろう。
10振動のムーブメントが作り出すクロノ針の動きはとてもスムーズで、流れるような動きである。時がよどみ無く経過しているということを実感させられる。これを上回るのはSEIKOのスプリングドライブくらいだろうが、人間の目でこの違いがわかるかどうか?
他の時計と比べて相当変わっているように思えるのが、リューズの操作。引かずにまわすとゼンマイの手巻き。かなり硬いゼンマイを採用しているせいか、巻き上げていると指が痛くなる。で、一段引きすると時間調整、二段引きすると日付変更なのである。一段引き、二段引きのオペレーションが他のムーブメントと逆である。これにはちょっと慣れが必要である。日付はクイックチェンジ式。これも問題なく動作している。
ハック機能は無い。現行モデルでもハックがないのだから、El Primero自体に無いのだろう。クロノグラフのスモールセコンドに秒単位の精度は求めないので、別に気になりはしない。
そして、音。ケースに耳を近づけると、ハイビートの「チチチチチ…」という音がする。機械が作り出す音なのに、こういう音を聞いていると心が安らぐのは何なのだろうか?SpeedMasterの6振動レマニアの「カチンカチン」という音も良いが、個人的にはEl Primeroの方が好みである。
と、非の打ちどころのないような褒めっぷりであるが、強いて言えばデザインだろうか?やっぱりちょっとチープな感じがある。このカラーリングは、人によっては受け入れられないかもなぁと思う。ラフな服装にはとてもマッチすると思うんだけど…ナタフゼニスモデルしか知らない人が見ると、同じブランドの時計とは思われないことでしょう。
次は、もう少し長い期間使って、精度なども見てみましょう。