『「蟹工船」悲しき再脚光 異例の増刷、売り上げ5倍』 YOMIURI ONLINE
会社へ向かう途中、地下鉄東西線の車内で「蟹工船 130万部突破」という広告を見た。大変驚かされた。
「蟹工船」は1929年に小林多喜二により書かれた、プロレタリア文学の代表的作品。私も学生時代に読んだが、まだ仕事というものがどういうものか全く認識が無い頃のことで、ただひたすら暗い気分になったことばかりを記憶している。ただ、よくよく思い返すと、この蟹工船「博光丸」は、偽装請負の現場そのものなんだよな。
この時代、労働者は守られるべき仕組みも無く猛威を振るう「原始資本主義」の中でただ自らの運命を呪うしかなかった。だが戦争を経て、戦後は進駐軍が自国に導入したニューディール政策に近いものを導入し、政府がある程度経済へ関与する社会民主主義的政策へと転換されていった。高度成長時代に労働法が拡充し、労働者サイドの権利が保障されるようになったことはご存知のとおり。
ところが、これら労働諸法網の目を潜るがごとくして、保障対象外の環境で労働に従事せねばならない人々が年々増えている。業務請負業者を介して仕事に従事する労働者、明日の生活をも危うい日雇い労働者、研修という名目でやってきた外国人労働者など。まさに「原始資本主義」へと回帰し、それが猛威を振るっている。
こうした人々が「国民を守ってくれない国や資本家に対して団結して戦う」という「蟹工船」に憧れを持つ気持ちはよく理解できる。しかし、現代の労働環境において見ると、次の日は誰と一緒に仕事をしているか判らないという状況であり、中々難しいだろう。派遣ユニオンのような、特定の企業に対する組合ではなく、派遣・請負労働者であれば誰でも加入、相談できるそうな組織がもっと(特に地方に...)出来ればなぁ思う。
話は変わるが、日本共産党の志位和夫が国会でこの労働問題についてガンガン責めまくった効果で、共産党の人気がずいぶんと上がったとか。確かに国民の視点に立った真っ当な意見だと思うのだが、やはり「日本共産党」という時代錯誤で左翼的名称と、この党が歩んできた今までの歴史が私には受け入れられず、拒絶反応が出るのである。実態としては社会党(現社民党)あたりよりは相当マシなのだが...なんだかねぇ。


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