
昨日紹介したLONGINES製のクロノグラフである。
実際に手にとって、まじまじと見たときの第一印象は
- 重い
- 厚みがすごい
- 結構作りが雑
- 何だか仮面ライダーのライダーベルトみたいなデザイン?
- これで殴ったら痛いだろうなぁ...
と、あまり好印象ではなかったのである。
しかしながら2ヶ月ほど使用し続けた今、なんだか段々にこの時計が好きになりつつある私である。
本製品のスペックを紹介しよう。
- ムーブメント:Cal.L667(ETA 7750ベース)
ゼンマイを改良し、パワーリザーブを46時間化(4時間アップ) - 風防:サファイアクリスタルガラス(内側のみ無反射コーティング)
- 防水性能:30気圧防水
- 逆回転防止スタッズベゼル
- ねじ込み式リューズ
- スーパールミノヴァ夜光
- ケースバック:スクリューバック
- 素材:ステンレススティール(ウェットスーツ用エクステンションつき)
- 外寸:直径41x厚15.5mm
- 重量:228g
- 定価:\241,500
目を見張るのは防水性能と価格である。ETA 7750ベースとはいえ、300mの防水性能を持ったクロノグラフが25万円以下というのは、今日では中々存在しない。しかもLONGINESのETAムーブメントはポン乗せではない。多少の装飾と、ゼンマイの改良が行われている。これによりパワーリザーブが4時間向上している。丸二日巻かなくても...とまではいかなかったものの、長くなるに越した事は無い。

商品はこのような箱の中に入っている。かなり大きいように思えたが、OMEGAの箱の方が大きかった。左側はOMEGA DeVille Co-Axial(Ref.4832.31.32)の外箱である。

箱を開けると、付属するのは国際保証書とマニュアル2冊。OMEGA等と同じ(というか、時計によくありがちな)全世界同一仕様のものである。

300m防水のダイバーズを謳うだけのことはあり、さすがにバックルは外れにくいダブルロック式を採用する。

バックルを外すと、LONGINESのロゴが見える。このバックル、今は多少マシになってきたものの、使って間もない頃はめちゃくちゃ開けにくかった。硬すぎて爪を割りそうになったほどである。

バックル内にはウェットスーツ用のエクステンションも備える。本格的である。

300mの防水性能を維持するため、ケースバックはステンレススチールのスクリュータイプを採用している。私はここの「有翼の砂時計」ロゴが結構気に入っている。サテン仕上げされており、腕に密着させたときの感触も悪くない。

インダイヤルは3つ、普通の3カウンタークロノグラフである。デイト表示を3時方向に持つ。秒針、12時間積算計のインダイヤルには同心円状のギョーシェ彫りが施されている。30分積算計下の「12」のでかい数字は...無かったほうがいいような気も...。しかし、この大きな「12」の文字を入れるために30分積算計が大きくなっており、視認性はすこぶる良い。また、風防のサファイアクリスタル内側には反射防止コーティングがなされているため、かなりの角度からも的確に時間を読み取ることができる。表面にもつけたほうがさらに視認性は高まるが、長く使うにつれてコーティングがはげてしまう恐れがあり、私は内側だけにこの処理が施されているほうが好きである。
タキメーターはケース内に配置され、クロノ針との距離が近いために読みやすい。同時期にリリースされたGrandeVitesseはタキメーターベゼルで、音速表示までされている。まぁ、まず使うことは無いだろうけれど、コンセプトが異なるHydroConquestに音速表示が採用されなかったことはちょっとばかり残念である。

ダイバーズウォッチだけあり夜光もかなり強く、暗所での視認性も非常に高い。スーパールミノヴァの夜光塗料はクロノ針の先端にも塗られているため(私自身が使用するシチュエーションは想像できないが)暗闇での時間測定も可能である。なお、このモデルは水中でのクロノグラフ利用は残念ながらできない(それができたら、すばらしすぎるプロダクトである)。

この時計の最も特徴的な部分を挙げれば、それはリューズ周りだと思う。リューズガードと一体化したかのようなクロノグラフのボタン。形状が形状だけに押しやすいとは言えないのだが、造形的な違和感がない。「いかにもクロノグラフ!」というようにボタンが独立して主張しているほうが好みの方にはむしろも足りないかもしれないが、私はこの時計で最も気に入っているポイントがここである。リューズはこの防水性能だから当然のように、ねじ込み式である。リューズ自体に長さがあって掴みやすいため、非常に操作がしやすい。
さて、私が『安っぽい』と感じずにはいられなかった点をいくつか紹介。

一つはブレスコマのピンである。割りピンなのだ。20万を超える製品で割りピンというのは初めて見た。割りピンの素材はステンレススチールなのだろうか?仮にそうであったとしても、ステンレススチールは空気と接触することにより酸化防止皮膜を生成するため、このような場所で使われると錆が発生する可能性は否定できない。ダイバーズということは、さらに海水などとの接触率が高くなるわけであり...この判断には疑問を持たざる得ない。Cリング式にするのに、それほどの費用がかかるとも思えないのだが。また、ブレスのコマに「半コマ」というものが存在しない。バックル部で微調整できるものの、ちょっと荒っぽい感じが否めない。

次はベゼルのルミナスポイントである。周りに装飾が何も無い。大きな穴をあけて、そこにスーパールミノヴァを埋め込んだだけという感じ。結果的に夜光が大きくなるので暗いところでは重宝するのだが、もうちょっと何か装飾があっても良かったのではないか。無骨すぎるかなぁと思う。

次いで、逆回転防止機能付きのベゼルである。結構回転しやすい。ふとしたときにずれていることがあるくらい、回りやすいのである。これもダイバーズ利用を考えると「こんなに簡単に回っていいの?」と思わざる得ない。
ちなみに一緒に写っているので紹介。ブレスは中央部のみポリッシュ仕上げで、左右の渕はサテン仕上げである。ブレスの構造上の問題なのだが、ポリッシュ部に傷がつきやすい。軽い傷なら消せるのだが、消すときにサテンの部分まで一緒に消してしまわないように注意が必要である。
さて、ここまで触れずに来たが、驚かされている点が2つ。それは「厚さ」と「重さ」である。
デカ厚時計というものが流行っていたようだが、最近リリースされる時計を見ているとそのブームにも翳りが見えつつあるのではないかとも感じられる。この時計に関していえば、文字盤の直径が特別大きいと言うわけではない。しかし、厚みは恐ろしいほどある。ETA 7750を採用し、かつ高い防水性を得るためにはある程度の厚みが必要かと思うが、ベゼルやスクリューバックケースの厚みは「本当にこんなに必要なの?」と思いたくなるほどである。
そこでどれだけ大きく感じるのかを、同じ自動巻きクロノグラフである「ZENITH Rainbow Flyback」と比較してみることにした。Rainbow Flybackが採用するEl Primeroとではそもそもクロノグラフ機構の原理が違うので比較対象となりにくいのだが、うちにある自動巻きクロノグラフムーブメントはEl Primeroしかないのでそこはご勘弁を。

文字盤の直径はほぼ同じ。こうやって正面から見ているだけだと、さほど大きな時計とも感じられない。

それを横から見るとこんな具合である。HydroConquest(左)は約16mm。Rainbow Flybackは11mm。この5mmの差は非常に大きい。慣れた今となってはさほど感じないが、はじめのころは「俺は何でこんなに厚みのある物を左手に乗せているんだ?」と思ったりした。気をつけないと結構色々なところにぶつけてしまう。しかし、耐衝撃性はケースを見ている分には高そうだ。


次に重さ。
私はコマをいくつか抜いているのでHydroConquestの重さは208g。これは相当に重い。以前「ROLEX OYSTER PERPETUAL DATE (Ref.15210)」の重さを測定したが、93gだった。これの2つ身につけている状態をも超えるということである(腕時計を片腕に数個する人なんて、スウォッチグループのニコラス・G・ハイエック会長くらいだろうけど)。ちなみにRainbow Flybackは140gと68gほど軽い。こればかりは正直言って未だ慣れない。左腕を鍛えているかのごとくであり、時々、重さのために手をあげるのも面倒に感じてしまうほどである。
と、結構酷評しているようなのだが、やっぱり許せてしまうレベルである。その最大の要因はやはり価格だろう。例えばこの時計が40万円するならば、私は「とんでもない時計だ。絶対に買うな」と言うだろう。しかし定価で25万円以下。クロノグラフで防水性能が高いとくれば、多少の欠点には目を瞑る気にもなる。並行輸入モデルなら10万円台での購入も可能だろうし、スゥォッチグループに関して言えば、並行輸入品に対する差別的対応も無い(ただし、並行物を扱う店で、あまりこのモデルは見かけないのだが)。機械式クロノグラフで高い防水性能。細かい仕上げにガタガタ言わないならば超お奨めモデルと言って差し支えないと思う。ポリッシュ仕上げ部分が多いが、ガンガン使っても後悔は無いモデルである。