何だかすごい名前の場所のようだが、これは日本におけるスウォッチグループの総本山『スウォッチグループジャパン』のビルの名称である。
由来はスウォッチグループ会長『ニコラス・G・ハイエック』氏の名前からである(名前をフルネームで入れるあたり、自己顕示欲が相当に強そうな人に思える)。以前は宝飾品の街、御徒町の中にスウォッチグループのメンテナンスサービスセンターがあったのだが、今や銀座の一等地に建設されたビルの中。御徒町にあるころ二回ほど行ったことがあるのだが、そのころとは雲泥の違いである。
で、何をしに行ったのかというと、上の写真の通りである。
最近腕が細くなってきたようで、腕時計のブレスを短くする作業をしていた。
OMEGA Seamaster 120m(Ref.2501.31)も小さいコマを一つ外そうとしたのだが、どうやってもこれ以上出て来ない。Cリング式なので戻すわけにも行かず...サービスセンターに泣きつくことにしたのである。我ながらなさけない。他の時計は余裕で出来たのになぁ。
このビルの2~4階は、左にロゴ記載されているブランドのショールームも兼ねている。スウォッチを除けば、全てハイランク・プレステージクラスの時計ブランドである。順番も、大体価格順になっているかな?5階がOMEGAのカスタマーサービスセンターで、6階がプレステージクラスのカスタマーサービスセンター、7階が他ブランドのカスタマーサービスセンターになっている。8~13階はスウォッチグループジャパンのオフィス、最上階は「シテ・ドゥ・タン・ギンザ」というイベントスペースになっている。
面白いのは、1階に各ブランドのショールームへ直行するエレベーターがそれぞれあることである。ブレゲのショールームへいきたいのであれば、写真にもあるブレゲのロゴがあるエレベーターに乗ればいい。エレベーターの中にもブレゲの時計がディスプレイされており、それを見ながら3階のブレゲブティックへ誘われる。各ブランドブティックへの独立した入り口が存在しているようで、実に面白い。
私の目的地は5階のOMEGAカスタマーサービスセンターである。エレベーターで昇ると、開放的で明るい空間が広がっていた。御徒町の頃とはえらい違いである。
受付担当の女性に時計の状況を話し、作業を依頼する。作業時間中にこの空間を見回す。
5階~7階までが吹きぬけになっており、自然光がさんさんと降り注ぐ。壁面には植物と液晶のディスプレイ。
このディスプレイは時間を表示したり、色々な幾何学模様に変わったりする。時間によって、その見せ方も変わっている。凝っているなぁ。
木製のキリン型オブジェもあり。金属のねじをほとんど使っていないこのオブジェにしばし見とれる。
すると、先ほど受付で対応してくれた女性がやってきて「ブレスの中のリングが錆びているので、ピンの取り外しにもう少々お時間かかりますがよろしいでしょうか?」と聞いてきた。中々見られないブランドブティックがあるこのビルをもうちょっと楽しみたかったので、作業が終わったら携帯電話に連絡を入れてもらうように連絡し、エレベーターへ。
向かったのはBLANCPAINのブティック。BLANCPAINは1735年創業の世界最古の時計ブランド。一貫して丸型の機械式時計しか作っていない。そして今後も作らないと言い切る機械式好き垂涎のブランドである。ただ伝統だけを重んじるわけではなく、革新的な機構を持つ時計も数多くリリースしている。
最近話題になったプロダクトに"Fifty Fathoms"がある。ぜひ実物を見てみたいと思い、とてもBLANCPAINのブティックには似合わない服装のままで突入。
しかも今日の時計はTISSOT T-LORD VALJOUX同じスウォッチグループのプロダクトではあるが、BLANCPAINとは天と地ほどの差がある(物によっては100本くらいT-LORDが買える)。決して恥じることの無い良い時計なのだが、もうちょっとプライス的にマシなものをしてきたほうが良かったかなぁ...などと思ってみたり。
全てがシックな木目調の調度品で統一されているBLANCPAINのブティックには店員が2名いた。1人は若い女性、もう1人は50歳くらいの男性。客は私以外居ない。とても丁寧な姿勢で私が見るモデル全てをこの男性は説明してくれる。8日巻きのモデルを見ていたときに
私「これには香箱いくつで実現しているんですか?」
店「トリプルバレルになっています」
私「そうですか。でしたらトルクも安定して8日使えますね」
という話をした途端に
店「でしたら、こちらのモデルもをご覧ください!」
と、俄然やる気を出してきた。きっと暇で仕方が無かったのだろう。格好の話し相手になり、"Fifty Fathoms"に興味があること告げると、ステンレススティール(以下SS)とレッドゴールド(以下RG)の二つのモデルを持って来てくれた。RGケースで300m防水とは驚きである。
てっきり私は、ベゼルはセラミックで出来ているものだと思っていたが、この光沢感はサファイアクリスタルによるものらしい。その技術力にまず脱帽である。運針も実にスムーズで、回転ベゼルの使い勝手も良い。しかし何よりも評価したいのはRGモデルのこの美しさであろう。
店「ぜひ、腕につけてみて下さい。良さがもっと良くわかりますよ」
と勧められ、装着してみるとRGらしく重さがあるのだが、装着感は非常に良い。実用性(っていうか、この価格帯に実用性って言葉を使いにくいのだが...)ならSSだろうが、たまらないなぁRG。ピンクゴールドは銅の含有率が結構あるため、海水で変色する可能性があるという。ダイバーズである"Fifty Fathoms"には適切ではないという判断で、素材の含有率を変えたそうだ。でも、この色のよさは写真じゃ伝えきれないだろうなぁ。でもRGはSSの約3倍の価格。俺の車が買えそうな値段だ(笑)。
時計には「雲上」と呼ばれるモデルがある。販売されていても高価で手に入れることが困難なモデルをこのように表現している。もちろん、個人の時計への投資額にバラつきがあるからいくらと言い切ることは出来ないが、私は130万円を越えたらそういいたくなる(ということで、ほとんどのROLEXなどは雲上ではありません)。一生のうちに手に入れることが出来るか、出来ないか...その1本の最有力候補が、私の中ではBLANCPAINなのである(普通の人はPATEK PHILIPPEやVACHERON CONSTANTINを挙げるのでしょうね)。まぁ一生かけて考えることなので、早急に結果を出す必要は全然無いのだが。
"Fifty Fathoms"を見終えた頃、OMEGAのサービスセンターから連絡があったので、5階へと向かう。
どうやら、サービスセンターの方はかなりこのピンを出すのに苦戦したらしい。オイルを使ったり、加熱したりと様々な手段を使って何とか取り出してくれたようである。感謝。で、代金を支払おうとしたところ
店「時計のコマ調整は無償なので、代金は結構です」
私「しかし、相当時間をかけていただいて...Cリングのピンやパイプも交換されてますし...」
店「いえ、通常のコマ調整と同じで結構ですよ」
おぉぉお、なんですと~!
くそぅ、OMEGAのサービスセンターに借りが出来てしまったぜ...。いつかここにオーバーホール頼みに来なくてはいけないな...。
(これって、OMEGAの策略にはまってますか?)
帰り際にBREGUET(BLANCPAIN以上に手が出ない)でトゥールビヨンがくるくる回っているのを見て「綺麗だなぁ・・・」とため息。一千万...。


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