
『あんた、この世をどう思う?
どうってことねぇか
あんたそれでも生きてんの?
この世の川を見てごらんな
石が流れて木の葉が沈む いけねぇなぁ
面白いかい、あんた死んだふりはよそうぜ
やっぱり木の葉はピラピラ流れて欲しいんだよ
石ころはジョボンと沈んでもらいてぇんだよ
おい、あんた、聞いてんの、聞いてんのかよ…
あら、もう死んでやがら
あ~菜っ葉ばかり食ってやがったからなぁ』
テレビ埼玉で月~木曜日のAM9:00~放映されている必殺シリーズの再放送。ここ数週間は高校野球の埼玉県予選とテレビショッピングが放送されていて中断されていたが、8/2からはついに名作(迷作?)必殺シリーズ第7弾「必殺仕業人」が始まった。
(当時の放送期間は1976年1月26日から1976年7月23日までの全28回)
上記はこの番組オープニングのナレーションで、宇崎竜童が担当している。ダウン・タウン・ヴギウギ・バンドが「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」をヒットさせたのが前年7月頃で、「あんた」という呼びかけはこの曲の歌詞「あんた、あの娘のなんなのさ」からの引用である(笑)。
仕業人の概要は過去のブログで掲載したが、とにかく貧乏で埃っぽく、赤い色ばかり目に付く(女郎の腰巻とか、剣之介の居合い抜き用竹光の鞘とか…主役の名前も赤井だ)。牢屋周り同心に降格させられた主水の姿もかなりみすぼらしく、髷は広がりっぱなしだし、無精ひげもすごい。着物も色あせている。下戸だった主水が酒を日中から飲みまくり、第3話では美人局のようなものに引っかかったりしている。
必殺シリーズにかなりの思い入れがある私も、シリーズ全ての話を見たわけではない(小学生の頃によく再放送を見ていたが、話を覚えては居ない)。仕業人のストーリーの中で、明確に記憶に残っているのは10話位である。よって、今回の再放送で初めて見る話も少なくはない。既に本日で4話まで放映されている。秀作ばかりだ。4話見て、確信した。私は必殺シリーズの中でこの仕業人が最も好きであることを。前回の主水シリーズ「必殺仕置屋稼業」なんかの比ではない。他にも「必殺うらごろし」辺りが好きだということは、貧乏でどうしようもない底辺の人々の暮らしを描いた作品がどうも私は好きなようである。
1話「あんたこの世をどう思う」で主水と剣之介が出会ったシーンにおける剣之介の台詞『あの…金貸せ!』がこの作品の印象を強烈に決定付けている。私は飲んでいたコーヒーを噴出しそうになった。
2話の「あんたこの仕業をどう思う」津川雅彦の強さもたまらない。日ごろから瓦割りなどをして異様なほどに体を鍛えている悪徳商人、田島屋伝兵衛役である。『健全な体には健全な心が宿る。これが私の信条ですから』と、悪役ながらも言い放つ。津川雅彦は「必殺橋掛人」では主役「柳次」を演じているが、初期必殺から強力な悪役として幾度となく登場している。「必殺必中仕置屋稼業」では西洋博打(ポーカーですが)で数万両という大金を摩ってしまう「負けて勝負」(殺しの無い回で、シリーズ中では非常に貴重)に登場し、「必殺仕置屋稼業」の「一筆啓上罠が見えた」では元締の一人「鳶辰」の役で登場、主水を追い詰めている。市松の助けが無ければ、間違いなく主水は死んでいただろう。そして、映画「主水死す」では、主水と相打ちになる葛西衆のボス役を演じている。
3話「あんたこの娘をどう思う」の展開もすごい。お市という娘(テレサ野田)の愛犬を殺して弄んだ男たちの仕置を、お市からちゃんと依頼されたわけではないのに「俺はやるぜぇ」と勝手に受けて仕置を始めてしまう。
4話「あんたこの親子をどう思う」も、見ていると金のために殺しが起きるのを心待ちにしているような雰囲気すら漂っているわけで、なんとも不謹慎極まりないのだが、それがいい。
こんな調子の作品が28話も見られると思うと、今から楽しみでならない。

