日本バーテンダー協会 関東本部 埼玉支部主催のウィスキーティスティングパーティに出席してきた。

場所は浦和ワシントンホテル3F。幾度となく前を通過したことはあっても行ったことは無かった場所だ。
今回のイベントでは協賛企業(主に酒類を扱う12メーカー)が販売しているウィスキーのティスティングと、ウィスキーに関するセミナーを受講できる。13:00~17:00という長時間行われるわけだが、私にはずっと飲み続ける自信はない(お酒弱くなっちゃったし)。とりあえず食べ物があまりなさそうなことを見越し、家でしっかり昼食をとった後に乗り込む。

到着後、軽くティスティングをさせてもらう。明治屋が輸入しているハイランドモルトスコッチ「DALMORE 15年」をいただく。隣に置かれているブレンデッドウィスキー「WHYTE & MACKAY」のモルト原酒として有名である。私は12年までしか飲んだことが無かったが、スムースでまろやかな味わい。
ティスティングパーティということで、いたるところにチェイサーが置かれているのが大変ありがたい。これで口に含み、リセットする。

次~。アサヒビール(ニッカウィスキー)のブースへ。ここでは竹鶴や余市、宮城峡が振舞われていたので、私も宮城峡の12年をいただく。国産のシングルモルトではこれが一番好き。なかなか高くて手が出ない12年...やはりフルーティなフレーバーがたまらない。香りもいいし。と、ブースの左手の方を見ると見慣れないボトルが...?カティサークなのだが「カティサーク・モルト」とラベルに記載されている。つまり、グレーンウィスキーがブレンドされていない、ピュアモルトのカティサークなのである。カティサークは「グレンロセス」、「マッカラン」、「ハイランドパーク」などのシングルモルトがブレンデインングされていたはず。でもカティサークでしょ...となめてかかって飲んだら、何とまぁ、おいしいこと。香りはフローラルで、バニラやココナッツを感じる。マッカランの仕事だろうな、これは。味わいはモルト特有の甘みがあり、しっかりしている。フィニッシュはすっきりとしてドライ。ハッキリ言っておいしい。まだ新製品のようだから、市場に出回るには少々時間がかかるだろう。見かけたら、次も必ず飲みたいと思わされた1本だ。

ここらでウィスキーのセミナーが始まったので出席する。実に基本的な内容で、まだ駆け出しのバーテンさんがお客さんとお話をするのに困らないよう...という内容である。ウィスキーの定義とその製法、そして世界のウィスキーの特徴をまとめた内容である。簡単に世界のウィスキー大別を表にしてまとめておこう。
世界のウィスキー その味わいと特徴ウィスキー名称 生産地域 | ウィスキーの種類 | ティストの特徴 |
|---|
SCOTCH (Scotland) | Malt Whisky | 多様な個性。ピートの香りを特徴とした力強い味わい。豊かなコク。 |
| Grain Whisky | やわらかく繊細。個性に乏しい。 |
| Blended Whisky | モルトのコク、力強さを繊細なグレーンが包み込む、バランスが良い。 |
IRISH (Ireland) | Straight Whisky | スコッチに比べやや軽いがボディの厚い風味。 |
| Malt Whisky | ピート由来のスモーキー・フレーバーが無く、やや軽め。 |
| Grain Whisky | やわらかく繊細。個性に乏しい。 |
| Blended Whisky | マイルドな香りとまろやかな口当たり。 |
CANADIAN (Canada) | Flavoring Whisky | ライ麦に由来するすっきりとした香り、軽快なのど越し |
| Canadian Rye Whisky | マイルドですっきりした軽い口当たり。 |
| Base Whisky | スコッチ・グレーンににた香味を持つ。 |
| Blended Whisky | 世界のウィスキーの中で最も軽く、滑らかな香味を持つ。 |
AMERICAN (USA) | Rye Whisky | アメリカン・ウィスキーはきちんと整理されており、かつバラエティーに富んでいるが、おもに一般に飲まれているものはRye Whisky,Bourbon Whisky,American Blendedの3種類。Rye Whiskyはマイルドですっきりとした香り、まろやかな口当たり。Bourbon Whiskyは華やかな香りとライトな風味をもつものから、重厚な香り、豊潤なコクを特徴とするものまで多彩。American Blendedは爽やかで軽快な風味を持っている。日本ではBourbon Whiskyが主流。 |
| Borbon Whisky |
| Corn Whisky |
| Wheat Whisky |
| Malt Whisky |
| Rye Malt Whisky |
| American Blended |
JAPANESE (Japan) | Malt Whisky | Scotch Maltに比べピート香が控えめ。香りも味もマイルド。 |
| Grain Whisky | 柔らかく繊細。個性に乏しい。 |
| Blended Whisky | Scotchタイプのブレンド。香味は繊細で柔和。 |

セミナー終了後、サントリーのブースへ。サントリーのモルトと言えば山崎なのだが、私はサントリーが輸入元になっているスペイサイドのスコッチ「ザ・マッカラン」の方に目が無い。シングルモルトのロールスロイスと評される「マッカラン」は鮮やかな黄金色。このスコッチまるでバニラやジンジャーのような香り、味わいはドライフルーツを口に含んだかのような滑らかさ。フィニッシュはウッディスパイスが感じられる。「ザ・マッカラン」の特徴と言えば、熟成にシェリー樽を使用していることが挙げられる。で、写真をご覧いただくとわかると思うが、見たことのない紫色の12年ものがある。これは限定発売の「ザ・マッカラン グランレゼルバ12年」である。通常の12年と何が違うかと言えば、スペインのオロロソシェリー酒を熟成させ、払いだした最後の樽(ファーストフィル)で熟成させている。そんな樽を使っているわけだから、シェリー酒的なフルーティさがかなり押し出されている。香りはドライフルーツ、チョコレート、オレンジ、ジンジャー、シナモン、クローブなどを感じる。味わいは強烈なスパイシージンジャー、オレンジシトラスのフルーツケーキのような甘さが包み込む。これがフィニッシュにまで及ぶ。「ザ・マッカラン」の特徴をかなり前面に出しており、やみつきになりそうな味である。

「ザ・マッカラン グランレゼルバ12年」の余韻に浸っていると、次のセミナーが始まる時間になった。次はまさにこのウィスキーとシェリー樽の関係についてのセミナーで、日本シェリー酒協会なるところからいらした方とのディスカッション。なぜスコッチにシェリー樽が利用されるようになったか、その経緯などについて話があった。なぜウィスキーが樽によって熟成されることとなったか、ご存知の方はわりと多いかと思う。密造した酒を隠すためになんらかの容器が必要となり、結果としていろいろな樽が利用されることになった。そして数年後に戻ってくると、密造した酒は琥珀色に輝き、出来立てのものより美味しくなっていたという、一種の「意図しない変化」がウィスキーを樽で熟成させるという行為を生んだのである。利用される樽も様々で、その中にはシェリー樽もあったのであろう。まったくの偶然と言うところからシェリー樽が利用されるにいたったようである。実にうれしい偶然である。

シェリー樽のセミナーが終わった後も他のブースを回ってティスティングを続ける。といっても、まだ半分も回っていないのである。まずは全く飲んだことが無かったスペイサイドのスコッチ「リンクウッド12年」をいただく。比較的軽く飲みやすい。癖の強いスコッチを望まない方にお勧めしたい一本である。

次は何と、埼玉の秩父にウィスキー蒸留所を作ってしまったベンチャー企業、その名も「株式会社ベンチャーウィスキー」のウィスキーを試飲。ワインやビールのような醸造酒ならまだしも、蒸留酒をベンチャー企業が作ってしまうというのは...ポットスチルなんて普通は導入できないよなぁ。ウィスキーを作りたいという情熱が猛烈に感じられる。まだ公式には売り出されていない、樽から出したばかり~というウィスキー原酒を試飲させてもらう。アルコールの度数を調整していないために50度を超える熱い液体が胃にたどり着くまで、しっかりと感じられる。情熱は伊達じゃないようで、大変おいしい。同じ埼玉県にあることだし、そのうち蒸留所を見学してみたいと思う。でも、泊まりがけじゃないと行けないなぁ...。
ちなみに、ベンチャーウィスキーのサイトにはここのウィスキーが飲めるバーのリストが掲載されている。大宮の「FRESCO」にもあったんだなぁ...。先日行った時に飲めばよかった。今度行った時には飲もう。

そして次はみんな知っているブレンデッドスコッチの超有名品「ジョニーウォーカー」のブース。一般的なスーパー位で見かけるのがレッドラベルとブラックラベルだが、酒屋ならその上位のグリーンラベルくらいまでは置いているかもしれない。その上がゴールドラベルで最上位がブルーラベル。ブルーラベルは馴染のバーで1本入れると、\35,000くらいはあっという間に飛んで行ってしまう。小売価格は\13,000前後だったかな?私はゴールドラベル以上のものを飲んだことが無かったので試飲させてもらった。口に含むと徐々に甘みが押し寄せ、芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。口の中は他の序にウォーカーに比べると比較的しっかりとした風味が残る。それでいてバランスは良い。ブレンディング妙技というものを見せつけてくれる1本である。「ジョニーウォーカー」は、購入した価格相応...いや、それ以上のパフォーマンスがあると思う。まさに「間違いのない1本」である。

次はヴーヴ・クリコジャパンが輸入をしている「アードベッグ10年」と「アードベッグ ブラスダ」を試飲。これはスモーキーフレーバーで一瞬にして理解できる、アイラモルトスコッチ。「ボウモア」や「ラフロイグ」に負けない...いや、それよりピーティなことで有名である。「アードベッグ10年」は「くぁああ」という声が漏れるほどのピート香。これぞアイラモルトである。そして「アードベッグ ブラスダ」は最近でた新商品で私も初体験である。ピート香にちょっと抑えられがちなバニラやチョコレートライムのような甘みがこちらはより前面に出ている。パンチは弱まっているが、隠れがちな風味がまた私に別な「アードベッグ」感というものを教えてくれる。まだこの時点では未発売だったらしい。また飲みたい1本である。
まだまだ飲んだ気がするのだが、このあたりから私の記憶も相当あやしくなってきた。
当初予想したとおり、食べ物が全くないのである。その状況でウィスキーをストレートで飲みまくっていたので(おそらく700ml瓶1本分は飲んでいる)ちょっと足取りがあやしくなってきた。
バーではオーダーするのが躊躇されるようなウィスキーの味もかなり知ることができ、有意義な時間であった。
昔は高級品で私のような若造が飲めるものではなかったであろうスコッチがこんなに身近に存在するするとは、本当に恵まれていると思う。焼酎のようにブームにならず、ひっそりとおいしいものを比較的安価に提供し続けてほしいと心から願うばかりである。